"暴れる力"で夏を乗り切れ!今見たい暴力映画2選
まだ7月初めだというのに暴力的な日差しが照りつける2022年、みなさんいかがお過ごしでしょうか。
僕はクソ暑い毎日にクソ辟易しつつもクソ元気です。
なぜなら暴力映画を摂取しているから。
──────𝑽𝒊𝒐𝒍𝒆𝒏𝒄𝒆、暴力。
暴力は人類とは切っても切れない関係にあり、いわば人類あるところに暴力あり、ゆえに悲しいかな、文明化により暴力などとうに排除されたかのように見える現代社会においてさえ、不可視化された構造的暴力が蔓延しております。イヤな世の中だ。
言うまでもなく、モチロン
ですが我々は人間、
ということで今回の記事は、
"暴れる力"で夏を乗り切れ!今見たい暴力映画2選
です。
観るバイオレンス・FPS!全編一人称視点の純粋暴力映画
「ハードコア」
令和4年、一番アツいゲームジャンルといえば間違いなくFPS。
今や将来我が国の未来を担う小学生から僕と違ってキラキラした生活を送る大学生に至るまで、誰もがプレステで、PCで、スマートフォンでFPSに夢中です。
もはやApexは義務教育であるため、傘開いて蹲りながら「ダ゙ヴン゙じだ!゙!゙早゙ぐ助゙げろ゙!゙!゙」なんて叫べば老若男女誰しもにウケますし、「俺゙ば、゙バン゙ダー゙だ゙!゙!゙!゙」とか呻けば少なくとも僕の周りの友人は鼻で笑います。
特にeスポーツ関連の盛り上がりようはすさまじく、人気FPSであるValorantの大会なんかは開催の度にTwitterのトレンドに浮上してくるくらいです。僕がオンボードのノートPCで無理して無料FPSしてた時代とはえらい違いだ。
閑話休題。そんなFPSを、それもうんと暴力的なやつを、まるまる一本の映画にしてしまったのが今回最初に紹介する「ハードコア」。
FPSを映画に落とし込むという発想それ自体は、実は新しいものではありません。
現に元祖FPSと称えられる暴力ゲー「DOOM」が2005年に映画化された際には、ほんの数分間のシーンだけとはいえ、ゲームと全く同じ一人称視点で物語が進行するという最高のファンサービスが盛り込まれていました。
では「ハードコア」はどこがスゴイのか。それはひとえに"全編"一人称視点の映画であること。
「ハードコア」は最初から最後まで、ずーーーっとFPS。そのうえ最後まで暴力シーンたっぷりの某チョコ菓子ライクな満足度バツグンのテイストに仕上がっております。その点ハードコアってすげえよな。
そもそもこの映画が製作された発端として、本作の監督を務めたイリヤ・ナイシュラーが過去に手掛けたロックバンド「Biting Elbows」のミュージックビデオ、それに同様の撮影手法が用いられ、話題を集めたということがあります。
百聞は一見に如かず。それを実際に見ていただければ、「ハードコア」がどういった作品かもある程度掴めるのではないでしょうか。
「ハードコア」がこれまたスゴイのは、そんな元ネタとなったMVのエッセンスが映画化に伴い薄くなるのでなく、逆に濃くなってお出しされた点。
短編映画が長編化するケースは案外少なくなく、しかし予算や納期や大人の事情が絡み合い輝いていた部分が希釈され...「アレは短編だから良かったんだ」といったネガティブな批評を受けることもこれまた少なくありません。
しかしイリヤ・ナイシュラーは違った。この男、激ウマ・カル〇スウォーターで人を惹きつけ、今度は1ガロンで希釈前のカル〇ス原液を出してきおりました。映画化に伴い尺が伸びたのはもちろん、演出はリッチになり、ゴア表現はマシマシになり、お色気描写も増え...要は全盛りです全盛り。
人類は暴力とともにあり、FPSもまた暴力と共にありました。つまり全編FPS暴力映画である「ハードコア」は、いわばフィルムという形を採った一つの巨大な、FPSという文化へのアンセムなわけですね。
そしてなにより、この類まれな映像体験を新鮮なかたちで楽しんでいただきたいので詳細は省きますが...誰もが知っているロックバンドQUEENのある楽曲が、最高の形で流れる作品でもあります。
ここまで映画のあらすじとかに一切触れていないじゃないか、と感じた諸兄、ご名答。ですがこれは僕が悪いのではなく、ストーリーとかそっちのけにひたすらに暴力的で、ひたすらにオモシロい「ハードコア」、敷いてはそんなサイコーの映画を作ったイリヤ・ナイシュラー監督に責任がある。
実際ストーリーも一部おもしろい仕掛けを孕んでいるのですが、それよりなにより映像面を見てほしい。もはや映画というより"体験"なんです。見て。
見ましょう、「ハードコア」。そんでQUEENといえば、Don't Stop Me Nowといえば?と聞かれたとき、出る回答がライブエイドだとかボヘミアン・ラプソディだとかフツーの返しな凡人でなく、「ハードコア」だ!と胸を張って言うような拗らせたおたくになりましょう。僕みたいに。それで友達を失くしTwitterで叫びましょう。僕みたいに。
ニコラス・ケイジが強すぎて怖くない
「ウィリーズ・ワンダーランド」
絶妙に不気味な見てくれのアニマトロニクス(動物型ロボット)が客を楽しませるレストラン「ウィリーズ・ワンダーランド」、その夜間清掃をひょんなことから任されることになったニコラス・ケイジ。
しかし店内に放置されたアニマトロニクスは魂の宿る殺人ロボットで...そんなどっかで聞いたようなあらすじで始まる映画、それが「ウィリーズ・ワンダーランド」。
もう隠す必要もないでしょう。この舞台設定は明らかに「Five Night At Freddy's」のそれです。清掃という意味では「Viscera Cleanup Detail」かも。そんな有名ホラゲーの文脈で始まる本作ですが...
とにかくニコラス・ケイジが強すぎる。
強い。尋常じゃなく強い。喋らないし、勤勉に掃除をするし、休憩時間にはしっかり休憩するし、強い。
本来であればホラーな状況がニコラス・ケイジが強すぎて本当に怖くない。哀れな殺人人形たちはケイジの残虐ファイトの餌食となり「モータル・コンバット」のフェイタリティ、あるいは「DOOM」のグローリー・キルよろしく粉みじんに破砕されます。
いちおうケイジとその犠牲者たち以外にも登場人物はいます。ケイジをハメた保安官に、ホラー映画のテンプレートであり、お約束に違わずこれまたテンプレート的行動をとる傍ら、でもなんだか絶妙に良識がある若者グループ。
ですが彼らはケイジ無双を引き立てるパセリでしかありません。この映画の魅力はホラー映画・あるいはゲームの定番がケイジによる暴力により完全破壊されるところにありますから。途中からロボット・若者・保安官すべてにドン引きされるケイジが面白い。そりゃ引くわ。
こうして文章に書いているだけでもひたすら力業な「ウィリーズ・ワンダーランド」ですが、上映時間はわずか88分。1時間半に胃もたれするほどのカロリーが詰まったスニッ〇ーズのような映画に仕上がっています。
とにかくものすごいテンポで話が進み、ケイジにより全てが蹂躙され終了し、ホラー映画にありがちな意味ありげなラストとかもなく本当にスカッと終わるストロングスタイルにはいっそ清々しささえ感じます。
完全に需要を理解している。これは真面目に観る映画じゃありません、頭を空っぽにしてゲラゲラ笑うためのインスタント・暴力のような映画です。ここまで記事を読んでくれるような人には間違いなくピッタリですね。ケイジの暴力で心底スカッとした気分になりましょう。スカッとケイジ。
以上で今回の記事は終わりです。ホントは3選にするつもりだったんですが、めんどくさくなりました。あえて2選とすることで暴力を表現できると思ったからですね。
嘘です。飽きました。また気が向いたら何か書くので、そん時はよろしくお願いします。
クソ暑い夏、暴力映画で猛暑をネジ伏せろ!
ではまた。